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遺産相続

「長期間相続登記等がされていないことの通知」について

長期間相続登記等がされていないことの通知が送られた背景

 「所有者不明土地」という言葉を最初に耳にしてから、どれくらい経ったでしょうか。現在、国内には所有者が誰なのかが簡単には分からない土地がたくさんあって、大きな社会問題となっています。

 例えば、台風被害による崖崩れの対策工事を行いたくても、所有者が分からないために着手が出来ないとか、国道を新設したり、河川を改良したくても、土地の所有者が不明で工事が出来ない、などといった、公共事業に支障をきたしている例もあれば、草木が生い茂り、ゴミが不法に投棄され、害虫が発生するなど、近隣住民を悩ませ続ける所有者不明の土地もあります。

 平成30年版土地白書(国土交通省)によると、法務局に保管されている登記記録だけでは所有者の所在が確認できない土地が、全体のおよそ2割にのぼることが分かり、これは面積にして約410万ヘクタールに相当すると推計されています。(参考:九州本島の土地面積が約367万ヘクタール)

 そして、これをこのまま放置すると、このような所有者不明土地は年々増加し、20年後の2040年には約720万ヘクタールに達するともいわれています。(参考:北海道本島の土地面積が約780万ヘクタール)(所有者不明土地問題研究会最終報告概要より)

所有者不明土地が増え続ける理由、相続登記の未了の問題とは

 では、なぜ、所有者不明土地は今後も増え続けることが予測されるのでしょう。その大きな理由として問題視されているのが、相続登記の未了の問題です。

 我が国には不動産登記制度があり、法務局において土地や建物の情報や、所有者の情報などを記録し、保管しています。そして、所有者として登記されている人が亡くなられ、相続人が遺産を相続したときに、法務局で土地や建物の名義変更手続きを行うことがありますが、これを「相続登記」と呼んでいます。

 相続登記は、相続人が申請をしてはじめて、新しい名義が登記される仕組みとなっており、現行の制度では義務化されていません。それゆえ、登記するのもしないのも、それぞれの判断に委ねられてきたために、結果的に、法務局に保管されている登記記録のおよそ2割が、昔の古い情報のまま、現在の所有者の情報を正確に反映しないものとなっているのではないかという議論があります。

 そして、このようにこれまで土地の相続登記が行われてこなかったケースが多々あり、これから急速な人口減少(少子、多死)が見込まれる中で、今後、相続登記が未了のまま放置されるケースがよりいっそう増加すると見られ、さらなる所有者不明土地の拡大を招くことが危惧されています。

所有者不明土地の問題を少しでも減らし、みんなが安心して暮らしていくために

 そこで、平成30年に「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」が制定され、これに基づき長期相続登記等未了土地の解消作業が行われることとなりました。

 この作業の概略としては、30年以上前に亡くなられている方が、いまだに土地の所有者として法務局に登記されている場合に、その方の法定相続人を探して、相続登記をしていただくよう法務局からお勧めのお声がけをするというものです。私も神奈川県の司法書士として、横浜地方法務局と連携してこのプロジェクトに参加しており、年明けから膨大な資料を読み解く作業に追われてきました。

 しかしながら、突然、法務局からこのような通知が届いた方々にとっては、大変驚かれたと思います。なぜなら、登記記録上、明治時代から時が止まったまま所有者不明土地の状態に陥ってしまっているケースも多いため、現在まで代替わりが繰り返されるうちに、そもそもこの通知を受け取られた方の中には、その土地の権利者(法定相続人)となっていることをご存知なかった方も多いのでないかと考えられるからです。

長期間相続登記等がされていないことの通知が届いた方へ

 もし、法務局から長期間相続登記等がされていないことの通知がお手元に届いた場合には、まずはその届いた通知本人確認書類(運転免許証など)認印を法務局にお持ちになり、次のものを取得されることをお勧めします。

①対象となっている土地の登記事項証明書(1筆600円)
②法定相続人情報(450円)

 ①を取得すると、対象とされている土地の場所や面積、それから宅地なのか田んぼなのかといった種類が分かります。また、②の法定相続人情報には、その土地の法定相続人の情報が家系図のような一覧形式で載っています。ご自身お一人のこともあれば、相続を繰り返した結果、知らなかったご親族の名前が多数表示されている場合もあり得ます。

 これら登記事項証明書や法定相続人情報の見方や、相続登記について、分からないことがございましたら、どうぞお気軽にお問合せください。

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