交渉とは⇒2人以上の者が/話し合いで/未来の事柄について/取り決めを交わすこと。
交渉学は身近な問題から国際関係まで、世の中のあらゆる交渉について研究する学問。

立場と利害を区別し、利害に着目する。

Q. 1つのオレンジについて、2人の姉妹が自分の物だと主張し言い争っている。あなたが親ならどう解決する?

①オレンジを取り上げる。
②半分にする。
③なぜこのオレンジが必要なのか尋ねる。

③に従い、問うたところ、妹は食べたいからと答え、姉は皮でジャムを作りたいと答えた。この場合は、実と皮で分ければ万事解決する。

妹と姉の立場⇒「私がオレンジの所有者である」
利害(立場の背後にある理由、欲求の源、目的)⇒妹:「実を食べたい」、姉:「皮が欲しい」

”どちらが所有者か”という立場の争いも、利害に着目すれば解決策が見つかることがある。
立場の方が単純明快だが、「なぜ?」を繰り返し考えることで、利害に達する。
(一番ありがちで良くないのは、自分で判断して半分に割り、解決した気になること。)

例:キャンプデーヴィッド合意
イスラエルとエジプトがシナイ半島は我が国の領土であると争った。
イスラエルの利害:国家の安全(エジプトに攻められては困る)
エジプトの利害:国家の威信
⇒シナイ半島をエジプトに返上する代わりに、非武装地帯とすることで合意。

バトナ(BATNA: Best Alternative to Negotiated Agreement)を持つ。

バトナとは、現在の交渉が成立しないと仮定した場合における最良の代替案を考えること。
⇒自分の許容範囲、限界地点となる。
ex.
現在の交渉:A電器におけるPCの値下げ交渉
バトナ:B電器で購入?通販で購入?今年は買わない?…etc.のうちで最も大きな満足をもたらしそうな案。

交渉をする時は常にバトナ(副案)を念頭におき、現在の交渉から得られそうな満足度とバトナを比較する。あくまで現在の交渉は粘り強く行い、その結果とバトナを比較する。
⇒交渉による合意よりもバトナの方が良い結果をもたらすと判断すれば、バトナを実行する。

 

■交渉において、BATNAを持つことは非常に重要。意図的に確保する必要性。
交渉妥結の判断材料となるばかりでなく、感情的判断を避けるための手段にもなる。
cf.自分の副案を知っておかないと、感情論に持ち込まれやすい。また、相手方から心理的に圧迫されても、客観的に判断できる。
判断の合理性を示す材料になる。
ex.本当に妥当な交渉だったのかを上司に報告できる材料
交渉時に相手方に対し脅しの材料としても使える。

⇒BATNAによる脅し:自分のBATNAと相手のBATNAを比較する。
ex.8月のアパート賃貸交渉
・借主(自分)のBATNA
別のアパートを借りる?知人の家を間借りする?実家に戻る?…etc.のうちで最善の選択肢
・貸主(相手)のBATNA=相手の足元
他人に貸す?空室にする?リフォームして価値を上げる?…etc.のうちで最善の選択肢
⇒自分のBATNAが相手方より強いと判断した場合、他に借りてくれる人はいるでしょうか?という話をする等がBATNAによる脅し。

■単一条件交渉(ex.価格交渉)にみるBATNAとZOPA(Zone of Possible Agreement:合意可能領域)
・売主のBATNA⇒¥2,000 買主のBATNA⇒¥3,000 ZOPA⇒¥2,000~¥3,000
・売主のBATNA⇒¥4,000 買主のBATNA⇒¥3,000 ZOPA⇒存在しない。話し合ってもムダ。
つまり、単一条件交渉の場合、交渉とはそれぞれのBATNAで囲まれた陣地の奪い合い。

自分のBATNAを正確に知った上で、相手のBATNAを探る必要。最初に提示する条件(1stオファー)によって、ZOPAの認識が変化する。先に価格を示した方が弱くなることが多いため、最初は適度にふっかける。自分のBATNAはほのめかしても、見せない。相手が好条件を示しても喜ばず、更に交渉する切り替えしも必要。自分の目標(狙い)を決めておくこと。

 

統合型交渉(複数条件交渉)
複数の条件(利害)を同時に考察して交渉すると、両者の満足度がアップする。

互いの異なる価値観を利用し、相手が自分より重要視する条件(X1)と、自分が相手より重要視する条件(X2)を交換する。

例えば、 X1(価格)だけで交渉すると相手方とは敵対関係に陥るが、そこにX2(納期)という新たな条件を加えて、両方同時に考察して交渉すると、WIN-WINの関係が築けることがある。条件(取引材料)を増やすほど、合意可能領域が広がる。

但し、価値観や規範意識を前面に押し出す相手や感情に支配される相手とはこの方法によっても合意は難しい。しかし粘り強く対話を続けることで、共通の利害を見出すことが出来ることもある。