人間は自分にとって予想外のこと、経験がないこと、都合が悪いことは見えにくい。
反対に、予想したこと、経験したこと、都合が良いことは見えやすい。
人間はいつもどこかに焦点を合わせていて、物事の全体像を把握するのは苦手である。

 

全体像を捉えないまま問題解決をしようとすると…
例えば、道路渋滞の解消をしたい場合、

道路渋滞 →道路拡張工事 →道路容量の増加 →道路渋滞 の繰り返しに陥りがち。

道路が拡張されると一時的には渋滞は緩和されるが、便利になって宅地開発等が進み、そのうち走る車の台数が増えて、また道路渋滞を招いてしまう。短期的な解決方法に飛びついても、長期的な解決には結びつかない。

 

システム思考とは、つながりをたどって、関係性の構造を広く捉えるつながり思考。それにより、対症療法ではない効果的な解決策を、副作用を予期・低減しながら考えることができる。もともとは1950年代にアメリカでシステムダイナミクスとして確立し、現在では、政府、国際機関、企業、NGOなど様々な場所で活用されている。

 

システム思考において重要な心得
何か問題が起こった時に、人を責めない。自分を責めない。
⇒問題のパターンは構造が生み出している。
構造を変えない限り、問題は解決しない。

 

▻先程の例で、考えうる道路渋滞の構造

システム思考1

社会の複雑な仕組みは、全てこのようなループ図に落とし込むことができる。(ループ図に絶対的な正解はない。)図を描くことで、システムの全体像やシステムの要素のつながり・動きが把握しやすくなり、どこに働きかければ、小さな力で大きな変化をもたらすことができるかを考えることができる。

 

構造を変える働きかけ

レバレッジ・ポイントを見抜く。レバレッジ(てこ)のように、小さな力で大きく動かせる介入ポイントを見つける。解決策は、問題の近くにあるとは限らない。

(例)1980年代から90年代のニューヨーク市
年に2,000件以上の殺人事件と60万件以上の重罪事件が発生、地下鉄は無法地帯と化していた。
→しかし5年後、殺人事件発生件数は770件に減り、重罪事件もほぼ半分に激減。地下鉄でも75%犯罪を減らしていた。なぜ?

⇒地下鉄再建計画
:徹底した地下鉄の落書き清掃作戦と無賃乗車(軽犯罪)の撲滅に取り組んだところ、重罪事件が減った。
⇒市内でも、信号待ちで止まっている車の窓を勝手に拭いて金を要求する行為や、公共における泥酔、ゴミのポイ捨てなど軽犯罪を徹底的に取り締まったところ、みるみるうちに犯罪が激減した。

割れた窓理論
割れた窓ガラスの家が多い →犯罪がうまくいきそうな雰囲気 →犯罪行動

徹底的に修復するなど、割れた窓を減らす取組み。軽微な犯罪の取り締まり。=レバレッジ・ポイント
これをすることで、犯罪行動を抑制することに成功。また、これにより地域に安心感が広がり、戸外で過ごす人が増え、監視の目が増加し、ますます犯罪行動を抑制した。

 

▻先程の例で、道路渋滞の構造に対し考えうる介入ポイント(構造を変える働きかけ)

システム思考2
1 道路の障害物(わざと走りにくくする)
2 高速公共交通システムの導入(自動車利用よりも魅力をあげる)
3 通行料・混雑税

 

・全体を見てつながりを見る。
・出来事ではなくパターンを見る。
・パターンを引き起こす構造(ループ)を見る。
・構造を変えるという意識で、働きかけられそうなポイントをいくつも考える。
・思い込みの境界線を越える意識を持つ。